温暖化と中村哲医師

 radikoタイムシフトで昨年12月30日分、2019年最後のJET STREAMを聞いた。いつも通り、比較的穏やかで落ち着いた大人向けな音楽が続く。番組の後半で突然「100年に一度、観測史上にない、今年は何度この言葉を聞いたことでしょう‥‥」と大沢たかお氏の、これまたとてもとても穏やかな声で、急激な温暖化という社会(環境、政治)問題について語り出した。
 そして「今年は最後に‥‥中村哲医師が西日本新聞のコラムに書かれた言葉を少しだけ紹介して終えたいと思います」と言う。60年代、70年代のラジオ深夜放送ならいくらでも政治的発言や社会問題についての発言はあっただろうが、この番組の2019年最後の言葉としてというのは、かなり驚いた。
 「巨大都市カブールでは、上流層の間で東京やロンドンとさして変わらぬファッションが流行する。見たこともない交通ラッシュ、かすみのように街路を覆う排ガス、人権は叫ばれても、街路にうずくまる行き倒れや流民達への暖かい視線は薄れた。泡立つカブール川は汚れ、もはや川とは言えず、両岸はプラスチックごみが堆積する。国土を顧みぬ無責任な主張、華やかな消費生活へのあこがれ、終わりのない内戦、襲いかかる温暖化による干ばつ、終末的な世相の中でアフガニスタンは何を啓示するのか。見捨てられた小世界で心温まる絆を見いだす意味を問い、近代化の更に彼方を見つめる。」

 続いて、トム・ウェイツの“グッド オールド ワールド”が流れた。
 JET STREAMといえばご存知の通り、某国(元?)ナショナルフラッグつまり航空会社の数十年来の、ほとんど宣伝用(単にコマーシャルが流れるだけでなく、内容までもが)の番組だ(よね)。
 温暖化問題に関する言葉として中村哲さんの言葉を取り上げたこと自体はもちろんだが、この番組で朗読されたことにとても意味があるような気がしたのだが。